突然の不登校、親はどうすれば?最初の一歩を間違えないために

こころ

突然の「学校に行けない…」

学校に行けない…

そう言われた日、親の心は大きく揺れます。

どう声をかけたらいいの?
将来は?
なんで学校に行けないの?

さまざまな不安がよぎるでしょう。

理由が明確でない場合、その要因はHSCである可能性があります。

こちらの記事でチェックしてみて下さい。

ここでは、「HSCが不登校になった直後に、親がまずすべきこと」に焦点を当て、【待つ】という行為の大切さについてもお伝えします。

とっても難しい「待つ」こと。それができるよう、親の不安解消のヒントも後半にご紹介します!

親が見落としてはいけないこと

子どもが不登校になった直後、親はさまざまな不安に駆られることと思います。

そしてその不安から、つい見失ってしまうものがあります。

それは実は、、子どもの気持ちです。

「このままで大丈夫なの?」「原因は何?」「どう対応すれば…?」

そうした焦りから、親として何かしなければと動きたくなるのは自然なことです。

心配からの行動ですよね。

でも、もしかしたらその行動、自分の不安を和らげたいためだけのものになっていないでしょうか……それは子どもの気持ちが見えなくなっていることでもあります。

私自身、その経験があります。
なぜ学校に行けないのか——何かしないといけないと焦った私は、答えを求めて娘に「執拗に」尋ねてしまいました。

この経験から、子どもの視点を忘れないよう、親として考えるべきだと感じた二つのことがあります。

子どもは不登校をどう感じている?

子どもが今、何を感じているのか

これはHSCであってもそうでなくても、まず最初に立ち返るべき視点だと考えています。

私たちは「学校は行って当たり前」「行かないのはおかしい」と、無意識に思い込んでいます。
そして実は、子ども自身も同じようにそう思い込んでいるのです。

だからこそ、学校に行けなくなったとき、
「どうして“当たり前”のことができないのか」と考えるのではなく、「どうして“当たり前”のことがつらくなったのか」と考えなくてはいけないと思います。

今、子どもは「当たり前のことができない自分」に苦しんでいます。
多くの不登校の子どもたちは、「行きたいのに行けない」苦しさの中にいる、ということを知るのは大事なことです。

子どもはどういう気持ちで行けないといった?

もともと学校や集団生活が苦手だったとしても、子どもなりに頑張って通っていた——
その頑張りが、ある日限界を迎えたとき、「行けない」という形で表れます。

そしてそのとき、子どもは

なぜ自分は頑張れなくなってしまったんだろう

と戸惑い、自信を失っていることもあります。

でも、忘れないでください。
頑張れなかったから不登校になったのではありません。
頑張った結果、力尽きてしまったのです。

不登校には、前兆があることが多いです。
たとえば、朝になるとお腹が痛いと言ったり、起きるのが難しくなったり…。
でも、HSCの子は特に「周囲の期待に応えよう」と無理をしがちなので、こうしたサインが見えづらくなることもあります。

急に学校に行けなくなったように見えても、それは長いあいだ気を張って、限界まで頑張っていた結果かもしれません。

「行けない」と言ったその背景には、がんばりすぎて、もう力が残っていない状態があるのです。

まずはその事実を心に留めておくことがとても大切です。
それを忘れてしまうと、「とにかく学校に行かせなきゃ」と無理に動かしてしまうことになりかねません。

限界超えて頑張った子に「まだがんばれ(学校に行け)」と言うことが、どれほど酷なことか——

今なら、私も痛いほどわかります。

不登校になったらまず親がすべきたった一つのこと

では、子どもが不登校になったとき、親が最初にすべきことは何でしょうか?

「学校に連絡しなきゃ」「理由を伝えなきゃ」と思うかもしれません。
もちろん、学校への連絡は必要です。でもそのときは、「しばらくお休みさせてください」だけで十分ですよ。詳しい説明や今後の対応については、焦って今すぐ決める必要はありません。

なによりするべき大切なことがあります。

それは、安心できる環境を整えてあげることです。

エネルギーをすべて使い果たしてしまった子どもには、まず「休むこと」が何よりも必要です。

「ここにいていいんだ」「大丈夫なんだ」と思える——そんな”心と体の“安全地帯”を、家庭の中につくってあげましょう。

具体的には次のような環境です。

五感を休められる場所

特にHSCであれば、身体が疲れ切っている可能性があります。
毎日、多くの音やにおい、人の気配、空気の変化などにさらされて、感覚が休まることなく過ごしていたのです。

静かな場所で、寝たいなら眠れるだけ寝させてあげるとよいと思います。

HSCは基本ロングスリーパーが多いです。娘もよく寝ます!

精神的に安定できる場所

「体」と同じくらい、「心」も休ませることが大切です。
特に不登校になった直後、学校に行く・行かないという話題を出すと、心は休まりません。

さらにHSCの子どもは、親の感情の揺れをとても敏感に察知します。
親が動揺したり、不安になったりすると、「自分が悪いことをしているからだ」と受け取ってしまうのです。

もちろん、親として不安になるのは当然のことです。

とても難しいことだと思いますが、親が子ども自身を信じて、焦らないこと、回復を待つこと…
そうすれば子どもが精神的にとても安心できる場所になります。

「待つ」ことが、回復への第一歩

「待つ……?待っていても状況は変わらないのでは?」
「ただ待つなんて、つらくてとても無理……」

そんなふうに思ってしまう親御さんの気持ち、痛いほどわかります。

私自身、子どもが不登校になったとき、何をどうすればいいのか分からず、ネットや本で必死に情報を集めていました。

その中でよく見かけたのが、「まずは回復を待つことが大切」という言葉。
正直、当時は「本当にそれでいいの?」と半信半疑でした。

でも、子どもが少しずつ自分のペースを取り戻し始めた今だからこそ、あらためて感じています。

「待つことが大切」——それは、たしかに真実です。

待つことはなぜ大切か

不登校になった子どもは、心も身体もすでに限界を超えていることがほとんどです。


その状態で「行く?行ける?」と聞かれたり、次の行動を求められたりすると、エネルギーを回復するどころか、またすぐに力尽きてしまいます。

とくにHSCの子どもは、親の「行ってほしい」という気持ちを敏感に感じ取ります。
その瞬間、「がんばらなきゃ」と無理をしてしまいます。

たとえその日に登校できたとしても、それは本質的な解決ではありません。
また我慢し、また傷つくことを重ねる結果になってしまいます。

まずは、エネルギーが満タンになる、完全に回復する時間が必要です。
これは「何もしていない時間」ではありません。

ダラダラしてるように見えたとしてもそれは心と身体を整えるための大切な”充電時間”です。

この時期を越えると、「暇だな」と言い始めたり、自分から何かを始めようとしたりといった回復のサインが見えてくるようになります。

いつまで待つ?その時間

じゃあ、どれくらい待てば動き出すの?

 これは誰もが知りたいところだと思います。

でも残念ながら、その答えは人それぞれです。
1週間の子もいれば、半年、1年かかる子もいます。

ある一説には、「我慢して学校に通っていた期間の少なくとも3倍かかる」と言われることもあります。
※この説についてエビデンスはありませんが経験則として語られています

それでも、共通して言えるのは、親が焦れば焦るほど、回復は遅れるということ。
子どもにとっては、「焦らず待ってくれている」という親の姿こそが、子どもの回復を早める力になります。

何より難しい待つと言う事

経験者としてお伝えしますが、「待つ」という行為は本当に難しいです

毎日家で特に何もせず過ごす子どもの姿が目に入るたびに、「このままでいいのかな」「何かできることはないのか」と落ち着かなくなってきます。

そしてその心配がイライラになり、ついだめだとわかっていても
「ダラダラしてないでなにかしたら?学校いけてないんだから」
……などという強烈な嫌味を発してしまうことも少なくありませんでした。

そしてそんな自分に自己嫌悪する、の繰り返し…

でもそれはそれで仕方のないことだと思います。

親も完璧ではありません。
聖人君子でもありません。
親自身が「待つ覚悟」を持てるようになるまでにも、やはり時間がかかります

葛藤をしながらそれでも、「待つ」ことを選んで子どもに接する、そのことこそ意味のあることだと思います。

後半で親自身の不安との向き合い方についてもご紹介しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

「待つ」とは何もしないことではない

待つってどういうこと?ほっとくの?

待つ=放っておくことではありません。
待つ=見守る、が近いかなと思います。

安心できる場所をつくり、見守る

これが待つということです。

何も言わないことでもありません。
心が休まらないようなこと(下のNGワード)でなければ、もちろん親として声かけが必要なこともあります

声をかける内容、そのタイミング、それもほんとに子どもそれぞれなのでマニュアルのように示すことは難しいです。

しかし、見守っているうちに、

あ、今なら朝早く起きる約束をしてもいいな、
あ、もうそろそろゲーム以外の興味あるものを勧めてもいいな、
お出かけに誘ってもよさそうだな、
学校の話を聞いても大丈夫そう、というのがわかると思います。

やはり子どもは子ども。
楽な方に流れてしまうことも否めません。

焦らない、待つというのは、子どもの様子を置き去りにして先に進んでいかない、先走らない、という意味でもあります。

NG対応に注意!悪気なくやりがちな5つの言葉

親として焦ったり、なんとか前に進ませたくて、つい言ってしまう言葉。
でもそれが、子どもにとっては大きなプレッシャーやダメージになっていることがあります。

特にHSCの子どもは、何気ない一言にすら敏感に反応してしまいます。

ここでは、私自身も実際に言ってしまって反省した、「逆効果だった言葉」をご紹介します。

「みんな嫌だけど頑張ってるよ」

「人それぞれ嫌なこともあるけれど、それを乗り越えて頑張ってるんだよ」
そんなふうに伝えたくて言った一言でした。

「苦しいのはあなただけじゃないよ」と。。

でもそれは今苦しみの中にいる娘にはつらいだけの言葉でした。
みんな頑張っているのはわかっているのです。

だけど無理だからここにいる…がんばっていないと非難されたように感じたでしょう。
がんばった結果ここにいるのをわかってあげられていませんでした。

「よく頑張ったね」と言ってあげなかったのは後悔しています。

「どうしたらいけそう?」

学校で何か配慮してもらえたら、また行けるんじゃないか——

そんな思いから、娘にこの言葉をかけました。
悪い意図はありませんでしたし、解決策を探そうという気持ちもありました。

でもこれは、学校に行くことが前提の問いかけです。

まだエネルギーが回復していない時に聞くには、タイミングが早すぎました。
「やっぱり行くことを期待されてる」と感じさせてしまい、娘にはプレッシャーになったと思います。

「暇ならなんかやれば?」

休みが長くなると、何もせず過ごしている子どもの姿に不安になってきます。
そんな時、思わず口から出たこの一言。

でも、これは完全に逆効果でした。

HSCの子は、何かを始めるにもとても大きなエネルギーを使います。
「まだ回復途中」であることを忘れてはいけません。

たとえ暇そうに見えても、それは充電中の大切な時間
親の目には何もしていないように見えても、心の中ではエネルギーを少しずつ回復している最中でした。

「そんなこと気にしなくていいんだよ」

娘が、学校に行くのがつらい理由の一つとして
「人が悪口を言っているのを聞くと、自分のことじゃないのに辛くなる」と話してくれたとき、
私はつい
「気にしなくていいよ」「気にしすぎだよ」
と言ってしまいました。

でもこの「気にしすぎ」という言葉こそ、HSCの子が一番傷つく言葉のひとつだったのです。

本人だって、気にしたくて気にしているわけではありません。
どうしても気になってしまうからこそ、生きづらさを感じて悩んでいるのです。
気にしすぎてしまうから学校に行きづらく感じて苦しいのです。

このとき必要だったのは、「そうなんだ、嫌な気持ちになったんだね」と、その気持ちを否定せず、受け止めてあげることでした。

待てない「親の不安」どう解消する?

「待つことが大事」と頭では分かっていても、やっぱり親としては不安になります。
本当にこの不安を手放すことは簡単なことではありません。

この章では、ちょっとでも不安や心配が軽くなる考え方のコツをご紹介します。

「今できる小さなこと」に目を向ける

「学校に行けなかったら、将来どうなるの?」
「私の接し方が間違っていたのでは?」

つい過去や未来の大きな問題ばかりに目を向けてしまい、不安はどんどん膨らんでいきます。
でも、変えられるのは過去でも未来でもなく、“今この瞬間”だけ。

「今できる小さなこと」に集中すると良いと思います。

たとえば、

今できる小さなこと

・子どもの興味を持ったものについて自分も学んでみる
・リラックスできそうな香りのアロマやお香をたいてみる
・居心地の良い音楽をかける
・大好きな食べ物を一緒に食べる…など

今自分が子どもの安心できる場所を作るためにできるであろうことに目を向けてみて下さい。

「再登校」ではなく「自立」を考える

何を待つのか、その目的をちょっと変えてみましょう。

学校に行けるようになるまで待つ時間という考えが、不安を増長させます

子どもが自立することを待つ時間だと考えると見える世界が変わります

不登校になると、どうしても「いつ再登校するか」に目が行きがちです。
でも本当に大切なのは、学校に戻ることではなく、子どもが自分の足で生きていく力を取り戻すことではないでしょうか。

・自分の気質(HSCであること)を理解できるようになる
・その理解から他者とどう関われば楽になれるかを学ぶ
・興味関心から、将来につながる「やってみたい」が芽生える

そういったことができるようになるのを待つ時間だととらえていきましょう。

これらは、学校に戻るよりも、ずっと根っこの部分で大切なことだと感じます。
その土台が整えば、結果として再登校につながるかもしれません

焦らず、たっぷり時間をかけることができるのをメリットとらえて—-
HSCにとって、「気質への理解を深める時間」こそが、本当に必要な回復のプロセスだと目線を変えましょう。

学校へ行かない選択肢の先を知る

学校に行けなかったら、この子の未来は終わってしまうんじゃないか

そうと思うことが何より不安だという親御さんも多いでしょう。

それなら、行かなくても大丈夫だ、という確信を得るべく情報を集めてみましょう

実際、今の時代、学校以外にも学びや進路の選択肢はたくさんあります。

・通信制高校やフリースクール
・在宅で学べるオンライン学習
・自分のペースで進める個別の支援

高校卒業資格は、通学しなくても取れる時代です。
大学進学だって十分可能です。
さらに、今は学歴に頼らない生き方・働き方も広がっており、「好き」や「得意」が仕事になる時代になりつつあります。

未来が見えないときは、まず「行かなくても大丈夫」という事実を、データや体験談を通して知ると、とても気持ちが楽になります。

こちらの記事では、不登校から大学へ行くことができる選択肢についてご紹介しています。

子どもと離れる時間を無理やりつくる

とはいえ、毎日子どもと向き合っていると、不安が増すのは仕方のないことです。

そういうときはあえて意識的に「子どもから離れる時間」をつくってみましょう。

私もはじめは、
「出かけるなんて気分じゃない」
「子どもを置いて自分だけ楽しむなんて…」
と、思っていました。

でも、思いきってひとりでカフェに行ってみたとき、ふとこう思ったのです。
「さっきの言葉、ちょっときつかったな…帰ったら謝ろうかな」。

ほんの少し離れるだけで、視点や感情に余白ができるのです。
自分の好きなことに少しでも触れられると、心に風が通ります。

・ひとりで散歩
・読書や音楽
・仕事にチャレンジ

子どもと物理的に離れる時間は、結果的に「より良い関係をつくる時間」になるとも感じています。

仕事は外に出なくても、在宅ワークという選択があります。
こちらの記事で実はハードルが高くない在宅ワークについてご紹介しています。

不安が伝わるHSCだからこそ

親としての焦りや不安は、どんなに努力してもゼロにはできません。
むしろ、「不安をなくさなきゃ」と無理に押し込めようとすると、心の中ではさらに膨らんでしまうこともあります。

だからこそ、「不安に振り回されない工夫をする」くらいの気持ちでちょうどいいのかもしれません。

HSCは、とても敏感に人の感情を感じ取る子どもたちです。
実は、「親が平気なふりをしていること」にかえって不安を感じてしまうことも少なくありません。

「ママ、本当は私のことで困ってるんじゃない?」
「がっかりしてるのに、気を使ってるのかな…」

そう思ってしまうほど、HSCは他者の“心の揺れ”に鋭く反応します。
だからこそ、「お母さんも不安を感じることがある」とやさしく、落ち着いて本音を共有することは、必ずしも悪いことではありません。
むしろそれは、

「あなたのことを本気で大切に思っているよ」
「一緒に乗り越えたいと願っているよ」

というメッセージとして、安心感につながることもあるのです。

親も無理せず貯めこまず、感情をだすことも不安の解消につながります。

相談できる人や機関など、不安を吐き出す場所を持つことも心が軽くする方法のひとつですね。

まとめ

不登校は、HSCの子にとって「心の防衛反応」。
決して「逃げ」や「怠け」ではありません。

エネルギーを使い果たした子どもに、まず必要なのは心と体を休める時間です。
親が最初にどう関わるかで、その後の子どもの安心感と回復力は大きく変わります。

だからこそ大切なのは、心身ともに安心できる環境を整え、信じて待つこと。

とはいえ、親自身にも不安や焦りはつきものです。

「このままで大丈夫なのか」「将来はどうなるのか」――先の見えないなか待つというのはとても苦しくことでもあります。

不安に振り回されないよう親自身の心のケアをすることも、ひいては子どもの回復の促進につながります。

焦らず、比べず――

子どもは子ども力で必ず動き出します。
待つことはつらいことですがそれが回復の近道になると信じて、「待ちましょう」